2016年3月2日水曜日

アメリカと日本の保健・教育の格差についてのメモ★ついでにオバマケア(ACA)についてのメモ

アメリカと日本の保健・教育の格差についてのメモ★ついでにオバマケアについてのメモ

ちょっとしたメモです。

★2014年10月21日追記

ベーシックな公衆衛生の数字と教育について、日本とアメリカの比較、アメリカ国内の人種の格差をちょっと見てみた。

乳児死亡率
日本
(出生千対)で2.0くらいです。
つまり1000人生まれると1歳までに死亡するのは2人です。どこの都道府県でも大きな差はない印象です。
いろいろ理由はあるのでしょうが、産科医小児科医はじめ多くの医療スタッフの懸命な努力の結果だと思います。

一方アメリカ。
全米平均
Infant Mortality Rate (Deaths per 1,000 Live Births)
6.6で、日本の3倍の確率で、乳児が死亡します。

人種別にみると、
Infant Mortality Rate (Deaths per 1,000 Live Births) by Race/Ethnicity
おおむね、黒人が、白人またはヒスパニックの2倍程度高いことがわかります。
黒人の子どもは1000人生まれて10人くらい1年以内に死亡するということです。
白人またはヒスパニックの子どもは1000人生まれて5人くらい1年以内に死亡するということです。
アジアンのデータは提示されていません。


男女別平均寿命
日本の男性は80歳ちょっと、女性は86歳ちょっと。

アメリカ
男性76歳、女性81歳

人種別・州別
おおむね、
アジアン>ラティノ>(ここに結構差がある)>白人>黒人>原住民の子孫
でしょうか。
州によっては、ラティノ>アジアン、もちらほらありそうです。
実は「アジアンとラティノ」と「白人と黒人」のギャップが大きいというのは、日本人の(アメリカ人も?)イメージと結構違うのではないでしょうか?人種の揉め事は、白人VS黒人orラティノが主だと思いますが、アジアンに妬みが来ないのはなぜでしょうか?

ちなみに、長生き州の1つであるわれらがマサチューセッツのアジア人と、日本人を比べると、前者の方が長生きのようで、寿命だけ考えると、私はこちらに残った方が良い?ということでしょうか?
しかしとてもこちらに残った方が長生きできる気がしませんが・・・?




教育の比較 主に大学進学率

国際比較
日本は50%くらいで、OECDの中では結構低め。
ドイツも低い。これはドイツでは大学ではなく職業訓練学校に結構行く人がいるからと聞いたことがある。


アメリカの学習に関する包括的な報告書。
これがかなり面白い、お勧め。 

PDFページP.103(本文P.83)あたりから人種別の大学入試の科目ごとの平均点など。他ななめ読み指摘になったことをメモ。


読み書きは、白人=アジアン>ラティノ>黒人


理系科目は、アジアン>白人>ラティノ>黒人


ドロップアウトは、ラティノ>黒人>白人>アジアン


バイト・酒タバコマリファナは、白人>ヒスパニック>黒人>アジアン


大学進学率@PDFページP.140(本文P.120)は、アジアン50-60%>白人40%強>黒人30%>ヒスパニック20-30%。Bachelor持っている率もこの順@PDFページP.160(本文P.140)


PDFページP.168(本文P.148)人種別男女別学位別賃金→アメリカでも同じ学位でも結構男女で賃金が違うものですね。人種はほとんど賃金に連動していない印象。賃金を決めるのは学位と性別化。男性で博士か何かしらの職業プロフェッショナル(医者とか弁護士)なら1000万円が中央値。


結論:アジアンはかなり健康・教育の指数が高い。

これって他の移民がたくさんいるところでも操野なのかなー。カナダ・イギリス・オーストラリアなどでも同様のことを調べてみたら面白い気がする

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★2013年12月04日追記

今日の追記分に関しては、原田さんと津川さんより多く教えていただきました、ありがとうございます!!

日本は、いわゆる無保険者の数がわからない。構造的に市町村が把握できない(以下の論文でも指摘されている)

実質的無保険者の推定は、、
リアル無保険者数は160万人(推定、兪論文(2011))
「35万世帯」(=滞納により保険を返納せざるを得ない世帯、「実質無保険者」)
=200万人超?(人口の2%弱?)くらいといったところでしょうか。

この数字は、一応皆保険ということになっている、マサチューセッツ州の4%(この分母にはどこまで入っているのだろう??私のような人間はカウントされているのか??保険加入については、大学含めてどこにも回答したことないけど)よりもまぁ優秀(?)。


国民保険の滞納世帯数
年次推移

生活保護世帯数 年次推移

 やはりいつも思うが、国保は最低でも県レベル(これはランセットでも同じ指摘有り)、できれば道州レベル(いつも思うが新潟はどこに属するのやら・・・)、もしくは国レベルがよいと思う。
リスクを分け合うという保険という意味でも、市町村というサイズでは小さすぎで、リスクを十分にバッファーできていない(=保険料格差)。
現状がどうなっているかというモニタリング・分析を行うためにも、最低でも県レベル。
県レベルにすると、政令市と都道府県との兼ね合いをどうするか?という問題も発生しそう。

個人的にはなぜさっさと国保を広域化しないのか謎だったけど、いろいろ調べていて、(全く根拠のない邪推です)市町村の財政調整基金を使い果たすのを待っているのではないかと思いました。
つまり、市町村には、まだ出すことができる「貯金」があるので、それを出し切ってから広域化?でしょうか。
国も県の財政も真っ赤なので、絞れるところからはしっかり絞り出しておきたいということなのかなと全く根拠のないことですが、邪推してみたり。

こうやってどんどん広域化していくと、なんだか既存の市町村(道州化されれば県)が果たすべき仕事って何なのかなという疑問も生まれます。



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年齢調整肥満率率は、黒人>メキシカン>ヒスパニック>白人>>アジアン




Non-Hispanic blacks have the highest age-adjusted rates of obesity (49.5%) compared with Mexican Americans (40.4%), all Hispanics (39.1%) and non-Hispanic whites (34.3%) [See JAMA. 2012;307(5):491-497. doi:10.1001/jama.2012.39].


その下にSESとの関係も書いてあり、・黒人とメキシカン男性では、高所得のほうが肥満が多い・女性は、金持ちのほうが肥満が少ない・男性では、教育と肥満には関連なし。女性では大卒が肥満少ない傾向・1988-1994→2007-2008を比較すると、すべての所得層・教育層で肥満が増加




★11月24日追記
米国における健康格差に関するレポート2013 (CDC)
社会要因(教育、収入、失業など)、環境(労災、交通の利便性など)、保健予防サービス、行動要因(10代の妊娠、喫煙、多量飲酒)、罹患率、死亡率などの性、年齢、人種、収入、地域別健康格差を見た興味深い統計レポートです。


TV(CNN)を見ているとやたらと目にする医療保険2つ

"Humana"
Walmartが提供している、処方をカバーする医療保険
月12ドルで、ほとんどのジェネリックがかばーされていて、窓口負担1ドルの保険があるらしい。
とくに慢性疾患の人にはいい気がする(まさにaffordable)が、
1)カバーされない薬が必要になったら、どーするんだ
2)1)のような事態に備えて入るものが保険なわけでその点においてもはや保険と呼ぶべきものではない気がする
という懸念がありますが。

CVSが提供するMedicare planD
ほかにも、CVSでNPがいて、仕事で忙しくてなかなか医者に行けない人どうぞ、的なCMもよく見る

★11月17日追記

先日の自分のプレゼンの時に日米の糖尿病罹患の話になったので調べてついでにメモ。

●日本の糖尿病有病率平成23年 国民健康・栄養調査結果
男性15.7%、女性7.6% ←とにかく日本は健康の話になると男女差が顕著ですよね。

参考までに、患者調査を見ると2%ですがこれは調査の性質上明らかに過小評価でしょう。


●アメリカの糖尿病有病率

Total: 25.8 million children and adults in the United States—8.3% of the population—have diabetes.

人種別
7.1% of non-Hispanic whites
8.4% of Asian Americans
12.6% of non-Hispanic blacks
11.8% of Hispanics

ちなみに日本では男女差がかなりあったけど、アメリカは男女差がないらしい。なぜだ??
Men:13.0 million, or 11.8% of all men aged 20 years or older have diabetes
Women:12.6 million, or 10.8% of all women aged 20 years or older have diabetes

  ●人口を考慮しないで単純に患者の数を比較すると、1)中国、2)インド、3)アメリカ。
20年後もそれは同じ推計のようだ。


ちなみに、


2011年中国の糖尿病人口は9000万人(有病率9.0%)で、2030年までに1億2970万人に達する。また、太平洋諸島に糖尿病有病率の高い国が特に多く、キリバス25.7%、マーシャル諸島22.2%、ナウル20.7%、ツバル19.5%となっている。


らしい。4~5人の一人ってすげー割合だ。



★11月13日追記

ニュースを見ていると毎日オバマケアのことをやっている気がします。
今日議論していて今まで気づいていなかったことに気づきました。
アメリカは6人に一人が無保険者とはよく言いますが、これって州でかなり差があるんですね。

元データソースもメモ

これはかなり南部キテマスネ。
テキサスは24%、ネバダは22%などなど。
ちなみに最低は我らがマサチューセッツの4%。なぜなら皆保険が法制化されているからですね(その割に4%もいますが・・)。このお仕事は、共和党のロムニーさんが州のトップをされていた時のお仕事ですね。
http://ja.wikipedia.org/wiki/ミット・ロムニー#.E3.83.9E.E3.82.B5.E3.83.81.E3.83.A5.E3.83.BC.E3.82.BB.E3.83.83.E3.83.84.E5.B7.9E.E7.9F.A5.E4.BA.8B.E6.99.82.E4.BB.A3
これが民主党であるオバマさんによるオバマケアの伏線となったことはとても皮肉的なことです。

さて、オバマケアに入るって具体的にどんな感じ?については李先生の以下の記事がイメージしやすいと思います。

つまり低所得者をカバーするには、州政府がすげー額を負担することが予想されます。
 無保険者は、お金持ちもいるかもしれませんが、ほとんどが、低(~中)所得者でしょう(超低所得者はメディケイドがカバー)
つまりこれらの現在無保険者が異様に多い南部の州でオバマケアを本気でやるなら(やる気がないようですが・・)、州政府がすげー額を負担することが予想されます。
オイルやシェールガスが出るような ところはまだしも、財政的に無理なところはどうするんですかねー。


それとオバマケアでは、最低限のライン(自己負担額はこの額以下とか)があるようですが、現状で存在する医療保険は、特に値段が安いものを中心に、その最低ラインを下回っているものも多く存在するようです。
そういう保険に入っている人には、オバマケア成立に伴い、保険会社からキャンセルの通知が来ていたりしているようです。


それと興味深いと思ったことは、退役軍人の団体は、オバマケアに反対しているようであることです。
理由は、彼らはすでに保険をカバーされているわけですが、オバマケアが開始されれば、何かしらの税金がアップすることが予想されるわけで、そのような増税は彼らにはメリットがないわけです。
まぁ合理的に考えればそういう結論にはなるけど、なかなかえげつない話だなとは思いましたが、調べてみると、退役軍人さんたちは彼らは彼らで大変なようです。
仕事が見つからないとか、その結果としての自殺とか、なんだかなーって感じですね。



その意味で、日本の自衛隊は、噂によるといろんな資格がとれるそうで、それはやめた後に職を得るために必要ですよね。
ずるという考え方をする人もいる(まぁわからなくはないが)とは思うのですが、結局そういう人が、生活保護や医療などの社会保障のお世話になってしまう(もっと悪いパターンとしては犯罪者になってしまう)よりは、真面目に働いて納税したり経済活動をしてくれる方が、国として社会としてプラスだと思うんですよねー。


話は全然変わって、この前書いた人種と平均余命LEの話になりますが、前回書き忘れましたが、LEを見ると、Latino(ヒスパニック)が予想以上に長く、白人が意外と短いことに驚きます。


意外です。
学歴や収入は明らかに白人の方がいいはずです。
よって受けれる医療も白人の方がいハズです。なぜ白人の方が短命なのでしょう?
肥満という点では、白人もヒスパニックもあまり差はない気がします(ってかむしろヒスパニックの方が肥満多いのでは?データ求)。



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アメリカは、経済規模の割に、医療費の割に、平均余命(Life expectancy、LE)が短いことで有名です。http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/1640.html




LEについての最新のデータは以下のようです。

Life expectancy: 78.7 years

まぁかなり終わっていますね、、、


人種で命に差があることも有名です。

黒人の短さに驚きます。

さらに詳細なデータがありました。
なぜwhiteが先頭に来ているんだろうという素朴な疑問はさておき・・・)


District of Columbia(いわゆるワシントンDCですね)のAfrican-American 71.6です。
かなり短い・・・
一方で、アジア系の長寿っぷりには驚かされます。
New Jersey:89.4、Massachusetts:89.1で、日本女性もびっくりの長寿です。


州でも差がありますね。
ざっくりとした州の違いは以下の3ページ目。


翻って日本はどうでしょう。
最新データを厚労省のページで見つけれなかったのでやや怪しいページですが
都道府県の差は、男性3.5年、女性は2年弱といったところでしょうか。
日本には人種ごとの寿命というデータはおそらくありません。また、所得や学歴などといった社会経済状況でどれくらい寿命が異なるのかというデータもないと思います。
余談ですが、所得や学歴などといった社会経済状況と、健康に関係する生活習慣についてはすでにお国が日本語でデータを提供してくれています。

ということで、健康日本21(第2次)がいうところの、「健康格差(地域や社会経済状況の違いによる集団間の健康状態の差をいう。以下同じ。)の縮小を実現する。 」は、寿命で測定するなら都道府県の差となるわけですが、アメリカのこの格差っぷりを見ると、なんとも格の違いを見せつけられている気がします。


寿命ではなく、喫煙率や食塩摂取量などでの差は以下のように見れます。

メモなので特に落ちはありませんがあしからず。





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