2018年10月22日月曜日

精華大学と日本の研究大学の比較。


TIMESランキングというものがあります。

https://www.timeshighereducation.com/world-university-rankings/2019/world-ranking#!/page/0/length/25/sort_by/rank/sort_order/asc/cols/stats

いわゆる世界大学ランキングみたいなものです。


TOP20はいわゆる欧米ばかりなわけですが、近年、中国の清華大学(Tsinghua University)の上昇が著しいです。

http://www.tsinghua.edu.cn/publish/thu2018en/index.html

TIMESランキングのここ5年を見ると、精華大学は、東大と入れ替わるような感じで、アジアのトップをNUS(シンガポール)と競っています。

https://resemom.jp/article/2018/09/28/46977.html

日本のTOPである東大は、アジアのトップを争っているとは言い難い状況です。アジアの第2グループという感じでしょうか。。。ここら辺の話題の関連で、ツイッターで、「精華大学が上がってきてるのは、日本の7旧帝大が受け取る政府からの交付金の合計よりも大きいから(だから当然だ!)」との記載をみつけました。

へーそんなことになっているのか、ってかそれって本当なの?と思って調べてみました。

結論的には、調べてみたけど、違うような。。。

清華大学よりも東大の方が、全体の予算も大きいし、国からの交付金金額も大きい。

https://www.u-tokyo.ac.jp/content/400005263.pdf
https://www.u-tokyo.ac.jp/content/400067357.pdf

https://www.u-tokyo.ac.jp/content/400039993.pdf

年間予算は、清華大学は500億円、東大は2300億円。
どちらも1/3が国から黙っててももらえるお金(日本でいうところの運営交付金)、1/3くらいが獲得研究費で、収入のポートフォリオは極めて似ている。
ちなみに、東北大学は1420億円。やはり1/3程度が運営交付金。受託研究費・競争的資金が1/4くらいというポートフォリオ構造。
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/profile/about/07/about0701/



これを聞くと、いやでも同じ金額と言っても中国と日本では物価や人件費が全然違うでしょという人がいそうですが、研究成果は購買力関係ないと思いますが。。。

そして精華大学がある北京も、どんどん物価が上昇しているようですが。。。

“年々物価はかなり上がっています。私が初めて上海に来た時と比べると「え?」と言うほど全体的に高くなっています。物の値段に変動が少ない日本と比べるとびっくりします。

特に上海や北京など大都市では中華以外のレストランの料金は日本と変わらないか、安さと質のバランスを考えると日本の方が断然安くて美味しい物を食べられると思います。

 現在北京に住んでいるので北京の事を主に書いていますが、北京や上海等大都市であれば物価は変わらない実感です。

北京から上海に行っても何かが特に安いというように感じたことはなく、同じ感じ。逆も然り。”

https://www.dekoboko-world.com/entry/livingcost-beijing

実際人件費も、精華大学の助教の給与の平均は1000万円くらいのようです。

https://www.paysa.com/salaries/tsinghua-university--assistant-professor

日本のトップとされる東京大学の教員に給与はと言えば・・・・

(扶養親族がいない場合)

○27歳(助教博士修了初任給) 月額288,400円 年間給与4,311千円

○35歳(助教) 月額393,752円 年間給与6,534千円

○50歳(教授) 月額574,556円 年間給与9,785千円

※扶養親族がいる場合には、扶養手当(配 偶者8,000円、子1人につき10,000円)を支給

https://www.u-tokyo.ac.jp/content/400064717.pdf

・・・

普通に、実力の差、マネジメントの差ではないでしょうか。

精華大学は、東京大学と同じような物価の場所にあり、たった1/4以下の予算で、東京大学よりも高いパフォーマンスを出しています。しかも教員には東京大学よりも高い給与を支払っているようです。

精華大学の方が少ない予算で、より高い結果を出しており、コスパかなりいいと言えると思います。

ってか東大のお金ってどこに消えているの????



先日、精華大のページ見たら、あれー見たことあるおじさんだと思ったら、あの統計のルービンさんが、精華大で統計のコースやってるみたいなんですが・・・。やっぱすげーなー中国は。日本みたいにちまちまやってないね。

こういうの相当金払っているんだろうけど、相当コスパいいと思うけどね。CMにもなるし人も集まる。

”In the fall semester of 2018, Professor Donald B. Rubin, an internationally well-known statistician opened a graduate course entitled “The Design of Experiments” at Tsinghua.”



今でこれですので、中国の経済さらに拡大すれば、この差はどんどん開くとしか思えません。

2018年10月1日月曜日

論文は誰のものか?

あいかわらず日経さんは、経済以外はいい記事書く苦笑

論文は誰のものか(上)大手学術誌に投稿拒否 
研究者ら論文独占に対抗 AI専門3000人署名 

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO35882490Y8A920C1TJM000/

今のアカデミアに疑問はいくつかあるが代表的なのがこれ。
論文読めない問題。
大学に所属していないと論文読めないし、大学に所属していても、ざっくり言えば、いわゆる研究大学じゃないと論文が読めない=研究ができない。
なぜか。
これは結構簡単で、ジャーナルを管理している側のマネジメント・商売がうまいから。
「いいジャーナル」という存在を作って・使って、それを名誉にして、ジャーナルを多数作って、ヒエラルキー化して、そこで収益をする。
TOPに掲載するのはかなり限りがあるので、まずは下から成果を上げていく構図に多くの場合なる(というか私含めて多くの人はここで一生を終える)。
ピラミッドのボトムはNも大きいので、一部であるTOPを無償化しても、全体としてビジネスは回る。

いいジャーナルを維持するにはお金がかかるからしょうがないという意見もあるようだけど、さて、そのお金はどこにかかっているの?
論文を発表する側は、原稿料はもらっていない。というか多くの場合お金を支払っている(ここが一般の人には理解されにくい謎の構図)。
査読する側も多くの場合お金をもらっていない。
編集者は?知らないけど、仮にお金をもらっているとしても、全体から見れば微々たる額でしょう。
管理事務コストにお金がかかっている?
さて果たしてその管理事務コストが生み出しているバリューは何なの???
で、残りはジャーナル運営側の利益?ですかね。

いつも思うけど、グーグルみたいな巨大ストレッジ使えば無料でできると思うけどね。
そこに、研究者は好き勝手、論文を出しまくる。論文には自動でIDがつく。
んで、その中で検索ができれば、それでよくないか?
IDがあれば、CITATIONは問題なくできる。
誰でも読むことはできる。
質の低い論文は無視されたり、内容によってはSNSで炎上する(投稿者には消す権利はない)。
論文がなかなか世に出ない問題も解消する(特に文系)。
フォーマットを統一したければ論文をフリーテキスト形式ではなく、BOXに文章を入れる形式にすればいいだけの話。
ってな感じで、今の時代、これで無料でできちゃうけど?と思います。
経済ふくめいわゆる文系がSSRN使って、論文とは別で公開とかしているのに、
医療系も加わるか?みたいな議論はあるけど、これは完全にジャーナルという筋悪な存在の延命措置でしかないと思う。
https://www.sankeibiz.jp/business/news/180629/prl1806291633135-n1.htm

本来あるべきは、誰でもすぐに投稿ができて、いつでもどこからでも読むことができる仕組みではないかね。

とはいっても、多少の運営コストは必要なので、これはUNとかそういうところで運営すればよくないかね。

人類、進歩しようよ。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO35882490Y8A920C1TJM000/