2015年8月12日追記
語学コンプレックスなど持つ必要はない!忘れられがちな「グローバル人材」の共通点
http://diamond.jp/articles/-/76190
"文部科学省と経済産業省が共同で事務局を務める「産学人材育成パートナーシップグローバル人材育成委員会」が発足したのがひとつのきっかけだろう。この委員会が出した『報告書~産学官でグローバル人材の育成を~』(2010年4月)では、以下のように定義をしている。
グローバル化が進展している世界の中で、主体的に物事を考え、多様なバックグラウンドをもつ同僚、取引先、顧客等に自分の考えを分かりやすく伝え、文化
的・歴史的なバックグラウンドに由来する価値観や特性の差異を乗り越えて、相手の立場に立って互いを理解し、更にはそうした差異からそれぞれの強みを引き
出して活用し、相乗効果を生み出して、新しい価値を生み出すことができる人材(50ページ)
この定義には決定的に足りない要素がある。それは
「べらぼうに仕事ができること」だ。"
http://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/san_gaku_ps/2010globalhoukokusho_summary.pdf
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2015年06月20日追記
おそらく日本人に意外と知られていない大学進学率の国際比較。実は他の国はもっと大学に行く人が多いのですよ。
・文科省資料
http://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/giji/__icsFiles/afieldfile/2013/04/17/1333454_11.pdf
・見やすい
http://www.globalnote.jp/post-1465.html
・解説
http://www.postsecondaryanalytics.com/us_highed_blog005/
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2014年12月30日追記
●「グローバル人材」
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/npu/policy04/pdf/20120604/shiryo2.pdf
“我が国がこれからのグローバル化した世界の経済・社会の中にあって育成・活用していくべき「グローバル人材」の概念を整理すると、概ね、以下のような要素が含まれるものと考えられる。
要素Ⅰ:語学力・コミュニケーション能力
要素Ⅱ:主体性・積極性、チャレンジ精神、協調性・柔軟性、責任感・使命感
要素Ⅲ:異文化に対する理解と日本人としてのアイデンティティー
○
このほか、「グローバル人材」に限らずこれからの社会の中核を支える人材に共通して求められる資質としては、幅広い教養と深い専門性、課題発見・解決能
力、チームワークと(異質な者の集団をまとめる)リーダーシップ、公共性・倫理観、メディア・リテラシー等を挙げることができる。“
こ
んな感じで、内閣府の資料では、「グローバル人材」という概念の構成要素は、語学は「グローバル人材」なる概念の構成要素の1つ(正確に言えば構成要素の
1つのうちに含まれる1つ)にしか過ぎないわけですが、どうも日本のメディアを見ている限りでは、いまだに「英語ができること」ばかりが強調されていて謎
すぎます。
おそらく報道関係者は以下のような人なのではないかと邪推します。
1)元の資料を読む習慣がない(うわべだけのコピペ報道。これはグローバル人材関連報道に限らない)
2)報道している人自身が「グローバル人材」ではないのでその概念を理解もできず「英語ができる=グローバル人材」だと思っている
上記の文科省のすべての基準を満たすことはかなり難しい気もしますが、現実問題の仕事上では、最低限必要なのは、
何か1つ専門性(強み)+母国語以外の語学、だと思います。
何かできることが合って初めて、他の語学を学ぶことが更なる強みになると思います。
日本語でも何もできない人が、母国語以外の語学をやったところで、何か仕事ができる可能性は極めて低いのではないかと思います(日本に無い概念の仕事は除く)。
2つ言語ができたところで、今の時代それでは仕事にならない(お金は稼げない)と思いますけどねぇ。
昔
はちょっと外国語ができるだけでも仕事ができたのかもしれませんけど、英語はペラペラでも中身もペラペラの人は、そんな人は世の中に大量にいるから、国内
でやたらと語学だけ磨くのは投資対効果かなり悪いと思います。趣味なら別にいいと思いますが(スポーツ楽しんでいるのと同じ)。
英語表記:”globally competitive individuals/individuals with globally competitive skills”
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以下のニュースをきっかけに、いろいろ調べて良い資料もあったので、以前の関連するノート(このページの下部)を修正する形で追記(これ以上ノートの数増やしたくない(苦笑))
財務省 35人学級を40人に戻すべき
10月23日 6時09分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141023/k10015624931000.html
”
その効果について財務省が検証した結果、1年生とほかの学年を比べたいじめや不登校の発生割合は、導入前の5年間の平均で、いじめが10.6%、不登校が
4.7%だったのに対し、導入後の2年間は、いじめが11.2%、不登校が4.5%となり、目立った改善がみられないとしています。そのうえで、従来の
40人学級に戻した場合、必要な教職員の数はおよそ4000人減り、国の負担はおよそ86億円減らせると試算しています。”
↓
文科大臣としては当然の返事
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141024-00000067-jij-pol
”
下村博文文部科学相は24日の閣議後記者会見で、財務省が国費捻出のため、公立小学校1年生で導入されている35人学級を2015年度から40人学級に戻
すよう要請する方針を示していることについて、「教員の負担増や子どもの教育環境の悪化につながる」と述べ、認めない考えを表明した。”
2012.06.19 Tue
OECD諸国との教育支出の比較から見る日本の教育課題
畠山勝太 / 国際教育開発
http://synodos.jp/education/1356
文科省資料:日本の状況と国際比較など
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo9/shiryo/__icsFiles/afieldfile/2012/10/25/1326999_7_1.pdf
ISSUE BRIEF少人数学級導入をめぐる議論 ―学級編制標準と教職員定数の改善に向けて― 国立国会図書館 ISSUE BRIEF NUMBER 705(2011. 3.24.)
http://www.ndl.go.jp/jp/diet/publication/issue/pdf/0705.pdf
財務省に異議あり いじめ認知増で35人学級から40人学級へ? データの誤読、正反対の結論
http://bylines.news.yahoo.co.jp/ryouchida/20141024-00040224/
日本の教員働き過ぎ?=授業外で多忙、勤務時間最長-自信のなさも・OECD調査
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201406/2014062500848&g=soc
小中一貫「成果あり」が87%=初の実態調査-文科省
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201409/2014091900170&rel=y&g=pol
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統合される前のノートのタイトル:
日本の高等教育の国際競争力強化について議論した@Vogel塾
2014年3月7日 12:28
Vogel塾で日本の高等教育の国際競争力強化について議論してとても楽しかったので、記憶があるうちにメモ。
ちなみにVogel塾はこういうもの。部活ですね(笑)
http://www.mbanetworkjapan.com/academic/2013/1410.html
テーマ:ランキング100位以内に日本の大学を10個入れるにはどうしたらよいか?(今は東大と京大だけ)
要は、日本の研究大学の国際競争力を向上させるにはどうしたらいよいですか?ということ。背景は、以下の文科の資料などを参照されたし。
参考リンク
●Timesのランキング(地域別にしたり分野別にしたり項目別にしたりできます)
http://www.timeshighereducation.co.uk/world-university-rankings/2014/reputation-ranking
●上海交通大学 ランキング
http://www.shanghairanking.com/
●教育に対する公的支出は日本は超少ないんです!!!!!社会主義国家ならもっと国が負担すべきでは・・・。
http://www.huffingtonpost.jp/2013/06/25/oecd_education_at_a_glance_2013_n_3496085.html
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/3950.html
http://synodos.jp/education/1356
超見にくい文科の資料も一応(読ませる気があるのかと・・・)。
http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/data/kokusai/1332512.htm
●文科省 平成25年度「研究大学強化促進事業」支援対象機関及び配分予定額
http://www.mext.go.jp/a_menu/kagaku/sokushinhi/1338460.htm
40円置くんじゃなくて40億円・・・・w
●文科省「スーパーグローバル大学(苦笑)」事業
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/036/siryo/__icsFiles/afieldfile/2013/10/24/1340612_01.pdf
関連参考サイト
http://matome.naver.jp/odai/2137508524606360301
http://blog.livedoor.jp/mineot/archives/52023747.html
●「日本再興戦略」
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/pdf/saikou_jpn.pdf
※「日本の大学を世界のトップクラスの水準に引き上げる」についての言及があります。
●日本とアメリカの大学の寄付金集めの違い
http://www.wharton-eclub.com/kyouiku/kifu.html
私案1)
旧帝大分割案:生産性の高い研究者のみ残して他は別組織に移行
・・確かにランキングをあげるのかもしれませんが、恐らく日本では合意がなされず実行できなだろう。
私案2)
小規模大学サポート案:規模の大きな大学のランクアップは大変なので、小規模な大学(奈良や北陸の大学院大学)を100位にいれる作戦。実行可能性もありそうで、コストパフォーマンスも良い気がする。
・・しかし政府が目指しているのは、「新たに100位に入れるのは、(例えば)既存の旧帝大+東工大、筑波、早慶に限る」?
他の案)
●日本独自のランキングを作ればよいw
・・・そんなランキングだれが見る?w
●生徒などによる教育の質の評価により大学の魅力アップ(ダメな教員はすぐに首!)
・・・労働契約法上難しいと思う。じゃぁ重点化する研究大学をすべて労働契約法が適応されない特区にしますか?w
●大学が金をもっと稼ぐfrom寄付・産業界。寄付の税制を変える。
●PhDがベンチャーで成功すればよい→大学院の必須授業で体験・バイトさせる。スタートアップ支援のための環境整備。
●ってゆうか、いろいろ議論する前に教育にもっと税金を出しましょう(諸外国比較データ参照)。
(もっといろいろ議論があったはずだけど忘れたので覚えている人コメントで追記プリーズ!)
余談)
大学教員の任期制の例
みちのく大学の任期:以下のように5年を超える任期性が多くでとられており、医や歯を含むいくつかの部局(学部)では、なんと教授でも任期制が適応されています。
http://www.bureau.tohoku.ac.jp/kitei/reiki_honbun/u101RG00000388.html
補足すると、もちろんこれは新規の人のみで、このルール前に教授になっている人は、適応されません(ここでも世代間格差・・)ので、高齢教授ほど任期なし(=頑張るインセンティブなし。しかし彼らの定年はしっかりどんどん伸びる・・)となります。
個人的には、大学が改定された労働契約法を順守する立場なら、7-10年の任期制はどういう意味があるのかよくわからない(雇用は停止できなくても合法的に退職金でも減らせるのでしょうか?)。他の大学の状況も気になる。教えてw
余談2)
私は、教育って楽しいと思います。
自身と教育については、研修医になってから学生や後輩研修医を教育する機会が多く、それをきっかけに明確に教育について関心を持つようになりました。
でも振り返ってみると、自身と教育の関係はもっとはるか前からで、大学時代は予備校や家庭教師をしていたし、さらに振り返ると、小学生のころは、テストが先に終わっていると先生の採点を手伝ったり、他の人に教えてあげたりしていました。
人によってわからないポイントは違うし、どういう説明をしたらわかってくれるかも違うし、それを探していくのが何か楽しい。
自分が勉強していてわかったときの快感もいいですが、他の人がわかってくれた時の感じがなんとも癖になります。
ということで、いわゆる大教室レクチャーするのは大嫌い。相手の反応がほしいしそれに応じて教え方を変えたい。
教
員という仕事は好きで将来も就きたいけど、なぜか日本の(アメリカもそんな気がしますが)大学教員の仕事のメインは教育じゃなくて研究で、教育はほとんど
評価されませんね。それなのに「教員」とか「教授」とかいいう名称は不思議だなぁと思う今日この頃。どっかにいい仕事ないですかねw
いただいたコメント
- Aさん 競争力が足らないんじゃなくて,協調力が足らないんじゃないかなあってこっちきて思った.
- >Aさん そうですね。協調力というか「論理的に話をして自分ができることとできないことを区別して計画して分業する力」でしょうか。昨日も総州
地方にある国立大学の循環器内科におられたDr.が医局内の足の引っ張り合い(”協調性”)を嘆かれておられました。
- Bさん 分かりやすいまとめありがとうございます。大まかな所は網羅されていると思います。 私案2は面白もくて効率よいと思うのですが、昨日のお話で大学院大学はランキング対象外(学生が居ないとダメ?)とのお話があった印象があります。
- Cさん 海外の有名大学と提携、合併しちゃうというアイディアはどうでしょう?シンガポールやマレーシアが最近その戦略に出ていて、アジアから優秀な人材を集めまくってます
- Bさん 私案1は無理としても、色々な大学、研究機関でやる共同研究をもっと日本でも拡大するのは難しいのだろうかと思います。昨日の、教授の先生方で話してるのを見たこと無い。よりもハードルは高そうですがw
>Bさん
-
- その1:そうでしたねー。ですので、それらに小規模の学部を作ってしまえばよいと思います。その2:手前味噌ですがwhttp://square.umin.ac.jp/ages/member.htmlマイナーな分野だと、
同じことに興味がある研究者がなかなか学内にいないので、同じ興味の人を集めていくと、気づくとコラボになっている気がします。しかしある程度各大学でプ
ラットフォームができちゃっているような実験系の方は、学内でそれなりに組織もあり研究もできてしまうがゆえに、わざわざ物理的に遠くにいる知らない人と
一緒にやるメリットが見えにくいのでしょうかね。実際やってみれば楽しいと思いますがねー。やっぱ身近な人間だけで話していると視点が一緒になる気がしま
す。
- >Cさん 海外の有名大学との提携は既に多くの大学で行っていると思います。みちのく帝大でさえこんな感じです。http://www.bureau.tohoku.ac.jp/・・・
/scientificj/f2-1.html合併いいっすねー。internationalityも一気に上がる気がします。ただ、アジア圏で日本って
すげぇ!って思ってくれているうちにどんどんやっておきたいものです。アジア圏に俺を飛ばしてくれる人いないかなー。
-
- あーいまさらながら昨日のメモから追記。
- それと、ランキングでは、アメリカとイギリス以外、例えば欧州のドイツやフランスも、そんなにランクインクイ
ンしているわけではなのも事実(せいぜい4-5個)。北欧も1-2個くらい。彼らは日本人よりもはるかに英語ができ、英語圏との交流も盛んであると推測さ
れるが入っていない。スペインやイタリアなんて100位に一つも入っていない。南米とアフリカも100位に入っていない。なぜ日本の大学は、100位に
10個も入れたいのでしょうね?
- 余談ですが、以下の2つはランキングが低いけど、その割にcitationがとにかくすごいと思
いました(いわゆる実力があるのでしょうか)60位Pohang University of Science and Technology
(Postech) Republic of Korea199位Boğaziçi University Turkey
関連ブログ木村正人2014年03月06日 09:50東大が世界トップ10から初めて転落http://blogos.com/article/81740/
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統合される前のノートのタイトル:経済協力開発機構(OECD)の「国際成人力調査」(PIAAC)についての駄文
2013年10月14日 12:13
経
済協力開発機構(OECD)の「国際成人力調査」(PIAAC)で「読解力」と「数的思考力」で、「日本が1位でしたよ」、というニュースは、日本でもさ
んざんやっていると思う(知らないけど日本のメディアのことだからきっと、日本の教育は1位!とかお祭りのように騒いでいるんでしょう?)ので別に紹介し
ていませんでした(あまのじゃく)。
ですが、個人的にいろいろ見て書きたくなってきたのでやっぱり書きます(笑)。
良い指摘をしているなと思ったのは、1)毎日の記事、2)産経の記事。
1)毎日は以下のように指摘しています。
http://mainichi.jp/opinion/news/20131010k0000m070124000c.html
>今回の調査は、3分野に限って行われた。このことを忘れてはならない。表現力、討論の力、多様な語学力、広い知識、リーダーシップなどといった、さまざまな能力はまた別である。
上
記のような指摘は、社会の監視機能として期待されているメディアとしては指摘すべきポイントともいました。「日本は1位だ、わっしょい!」と、お祭りを盛
り上げるのは戦前までのメディアの仕事であると理解しています。祭りに参加しているだけの自称メディアは猛省してほしいものです。
2)一方、産経では、年齢や職種や学歴での層別化を紹介していました。
http://sankei.jp.msn.com/life/news/131008/edc13100823540003-n1.htm
層別化解析は極めて重要ですよね。
全ての年齢層で日本はちゃんとOECDの平均を上回っているようですが、全ての年齢層で1位なのかは怪しいですね。
特に日本の若年層で気になるのは当然です。
ということで、研究者の端くれとしては、当然、メディアが加工した二次情報ではなく、オリジナルデータを取りに行ってみました。
残念ながらミクロデータは入手はできませんでしたが、以下からさまざまな集計データの層別化は参照できました。
http://www.oecd.org/site/piaac/
結
論的には、16-24,
25-34歳の層では、Numeracyは、Finlandに負けていそうです。literacyは互角でしょうか。より高齢層では疑いなく日本の勝ちで
す。ということで、Numeracyとliteracyという点においては、日本の「優秀さ」の多くが、過去の遺産に依存しているということが言えそうで
す。PISAの小学生の比較などを見てもわかりますが、今後は徐々に低下していくでしょうね。他に興味深い点としては、 1)韓国の年齢別の結果の差が激
しい。若年者は日本と同じくらい。 2)とにかくSpainとItalyの基礎学力はどの年齢層でも低い(こんなところで仕事を始めるのはとても大変そ
う・・)などでしょうか。上記のサイト(
http://www.oecd.org/site/piaac/)は、面白いので興味ある方は参照されることとお勧めします。
余
談ですが、このサイトでは、PIAACの説明の動画があります。それを見ていて思いましたが、教育は、信頼の形成に大きく寄与する要素だなとということを
再認識しました。特にアメリカで暮らしているとそれは実感します。言葉が通じなければ信頼も何もありません。多様な社会は良いと思うのですが、互いが最低
限の意思疎通すらできないと、それぞれが派閥を形成してしまうのは無理はないですよね。ですので、どういう社会環境の人にも、その国の税金で最低限の基礎
的な教育を提供することは、その国にとって必要(というか安全保障の観点から十分ペイするのではないか?)なことだなと思います。
日本が豊かな信頼(ソーシャルキャピタル)社会を形成できていたのは、ボトム層における高レベル教育の維持があったんだろうなと仮説(もう理論化されていたりしますか?)を抱きました。つまり今後の日本社会は必然的に・・・(割愛
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統合される前のノートのタイトル:世帯所得と子どもの学力
2012年4月28日 1:20
まずはこれを書くきっかけとなった記事(いつまでリンクできるかは不明。興味がある方はお早めにどうそ)。
家庭の所得が低いほど子どもの学力は低下する?文科省も調査に乗り出す“学力格差”の知られざる実態
http://diamond.jp/articles/-/17857
海外(特に英米)では、世帯収入と教育の関連についての論文は多数あります。
この記事では、そのテーマについて検討した国内の研究を紹介しています。
http://www.nier.go.jp/07_08tsuikabunsekihoukoku/07_08_tsuikabunseki_houkokusho_3_1.pdf
長いので、まずはP161までで。P.161までのうちキーファクトは、たぶんこれ(P.161)。
(5)世帯年収を考慮しても,保護者の行動と学力との関係は残る
一部引用
★
具
体的には,「親が言わなくても子どもは自分から勉強する」「ニュースや新聞記事について子どもと話す」「子どもが小さいころ,絵本の読み聞かせをした」
「家には本がたくさんある」などが世帯年収を統制しても学力との関係の強さはさほど変わらず,保護者の子どもへの接し方と学力との有意な関係が残る項目で
ある。「親が言わなくても子どもは自分から勉強する」ようになるまで勉強の習慣を強化すること,子どもが小さい頃から(幼児期から)絵本の読み聞かせをし
たり,家族の会話の中にニュースや新聞記事の内容が話される,家の中に本がたくさんあるなど,学校での学習との接続がはかられやすい家庭環境をつくること
が重要であることを示唆している。
★
引用終わり。
上記部分は置いておいて順に、この報告書をみてみます。
この報告書では、世帯所得と問題の正答率の検討をしています。
まずはP.148の表1。個人的には、2つの事実に驚きました。
1.恐ろしいほどきれいな階段状の関連で、世帯所得が上がるほど正答率が上昇する。
2.世帯所得の天井効果は、所得がかなり高い所まで行かないとなさそう(1200万円以上で天井か?)。
1については、多くの研究が、3つとか4つの分類でやっていますが、ここまで細かくやっても、きれいな関連が出るなんてすごいですねぇ(世帯所得の分類が正確であるとも言える)。
2
については、アウトカムを健康関連因子にした場合、もっと天井効果は低い所で出るような気(←先行研究による事実ではなく僕の個人的な感想です)がします
が、1200万円までリニアーって・・・。大都市圏以外には、年収1200万円超って、一部の特殊な職業の人を除いていないと思いますけどね。。
表2では、「学校外教育支出」と正答率の関連を見ていますが、こちらも恐ろしいほどの階段状。
こちらも天井効果は無く、5万円以上(これって年あやりじゃなくて月当たりですよね・・・?)まで上昇するという恐ろしい結果(塾や通信教育は、無駄ではないという証拠でもある。それは表3も支持する)。
表4は、月に5万以上の学校外教育支出があっても「全く負担に感じない」金持ちもたくさんいるわけで、表4ではあまりきれいな関連が出ないのはある意味当然。
表7、8は、いわゆる「良い家庭」でやりそうな行為と正答率が関連していると言っている。
しかし、これらの特性はすべて独立しているわけではなく、同じ根源(=恐らく高学歴とかだったりするんでしょうけど)から派生している特性を、様々な側面から見ているだけと正直感じる。
P.155表11(及び表13)では、重回帰モデルで、家庭の特性と世帯収入を解析して、家庭の特性を考慮しても、世帯収入が子どもの学力に有意に関連していたと。
こ
の重回帰モデルでは、多くの要因を統制(これは社会学者がよく使用する言葉で、疫学者でいうところの「調整」。英語だとcontrolとadjust?)
していますが、上述したように、これらの特性はすべて独立しているわけではなく、同じ根源(恐らく学歴?)から派生している特性であり、互いに強く関連し
ていると思われる(これについて言及していない?)ので、同一のモデルで全てを調整してしまうのは、いわゆる「調整しすぎ」になり、世帯所得の効果は消え
てしまうんじゃないかと思いましたが、そういうモデルでも、世帯所得は有意になるんですねぇ。
まとめると、この報告書によれば、とりあえず世帯所得と子どもの正答率が関連していました。
その関連は、家庭でのいわゆる教育によいとされる行為を調整しても有意でした。
恐らくそれは因果関係なんでしょうけど、細かいことを言うようですが、この研究は(よくわかりませんが)恐らく横断研究ですので、関連を示しているだけで、因果関係とまでは言えないですよね。
で
すので、この結果を以って、世帯所得と低学歴が関連していて貧しい家庭の子どもは不利だから、子ども手当をがっつり増やせとか、「学校外教育支出」により
ギャップを埋めるために貧困家庭に「学校外教育支出」用のバウチャーを配れ(これデフレ対策にもなりますねw)とかまでは言えないと思いますが、そういう
政治家がいてもおかしくないでしょうし、世論は受けそう(バウチャー案は、学習産業界も大賛成)だなぁと思いました。
それにしてもこういう報告書がネット上で自由に閲覧できることは素晴らしいですね。
英語のジャーナルの多くは、大学関係者はフリーで読めますが、そうじゃないと読めないですしね。
追加メモ:
2014年10月25日 3:46
●財務省 35人学級を40人に戻すべき
http://www3.nhk.or.jp/ne…/html/20141023/k10015624931000.html
(リンク切れ)
個人的には、できることなら、少人数学級や複数担任制を支持します。
が、今回のニュースを見ていて思ったことは、少人数学級推進派は、感情論やイデオロギー論(少人数がいいに決まっているだろ!)にとどまらず、少人数学級が生徒や教員に「どのような」良い影響を「どのていど」与えるのか、について明確に説明できているのかということです。
今回財務省は、「いじめの発生割合」などをアウトカムとして、少人数学級が効果が無かったと論じています。
効果が無いのにコストだけかかっているからやはりやめましょうと言っています。
教育の専門家や現場の人に言い分はいろいろあるでしょうが、門外の漢としては、「確かにそういう見方もできるかな」と感じました。
Evidence based education policyとでも言うのでしょうか。
少人数推進派の教育政策研究者(学者)は、少人数学級の意義を具体的に数値で説明し、実際今回の導入前後でどのように変わったのかを説明してほしいなと思いました。
感情論・イデオロギー論で進める政策は、担当者が変われば(当事者の声の大きさが変われば)政策が変わっても仕方ないですよね。
医療も同じですね。
たとえば数年前に1:10看護より看護師の人員の多い1:7看護が主流となりました。
これにより病棟の看護師の数が増えました。そして、患者サイドからすると、同じ病気で入院して同じ医療を受けても、1:7の方が支払うお金は確実に増えています(=国の医療費も増えますね)。
さて、実際何か良くなったんですかね?
患者の予後やQOLなどでもいいでしょうし、勤務している人の疲労感などでもよいと思いますが、とにかく何かしらの指標を提示して、それが増加分のコストに値するのか?という議論は必要だと思います。
教育も医療も財源は公的なお金です。またお金にゆとりがあるわけでもありません。
こういう議論は必要だと思いますけどね。